『スパイダーマン2』

夜7:25の回。新宿にて観る。
前作はヒーロー物としてもアクション物としても出色の出来で感銘を受けた。
傑作の続編というとだいたい嫌な予感を抱えて観に行くものだけれど、なぜか『スパイダーマン2』は素直に期待して映画館へ向かった。
実際、その期待を裏切られることはなかった。


何がいいのかと言うと、やはり主人公がヒーローなのにあれこれ苦悩するということだろう。
その様が時に悲しく、時に切なく、そして時におもしろおかしく描かれているのが印象的だ。
主人公ピーターの住むアパートのボロさなどはつい笑ってしまう。
それとヒロインがすごい美人というわけでもないのがいい。
高嶺の花という感じはなく、せいぜい小さい下町のアイドルといったところ。
そのおかげで過剰な恋愛劇でも親しみが持てる。
バットマンは孤高の存在なのがカッコイイのだけど、スパイダーマンは庶民派。
ヒロインのキャスティングも含めてサム・ライミ監督はその特徴をうまく描いている(恋愛よりも街の人々とのエピソードが泣ける)。
ちなみに友人の女の子が
キルスティン・ダンストがいちばんかわいかったのは『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア』の時でしょ。歳取ってどんどんブサイクになってショックだよ〜」
と言っていた。


しかし『スパイダーマン』は『バットマン』に比べるとちょっと悪役のキャラクターが弱いような気がする。
もちろんこれは原作に起因する問題ということになるのだろう。


そう言えばカートゥーン・ネットワークで『バットマン・フューチャー』というアニメをやっていて、年老いたブルース・ウェイン(先代バットマン)が登場する。
これがけっこう危険人物として描かれていて、若い主人公が「僕には怪人たちとあなたがそう変わらないように見える」などと言う。
孤高のヒーローの末路が自覚的に描かれているようで興味深い。
一方スパイダーマンは原作コミックスではヒロインのメリー・ジェーンと結婚して、二人の娘までもうけるという。
妻子持ちのヒーローというのもそれはそれですごい。
アメコミ・ヒーローたちもいろいろ事情を抱えているわけだ。